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【お豆通信】vol.5 豆腐と愉快な凝固剤

2017.07.03

今年の梅雨は雨が降る日が少ないですね。

 

おかげ(?)で例年に比べ、お気に入りのレインブーツが活躍する機会が少ない気がします。

そんな少しばかりしょんぼりした気持ちになっております、上田豆腐です。

 

気づけば紫陽花もしぼんできて、そろそろ夏本番!

まもなくセミが鳴き始めるころでしょうか?

 

ミーンミン。

 

と、いうことは、冷奴にビールがおいしい季節ですね。

わくわくしてきました。

そんな夏本番が待ち遠しい今回は、いつもと少し趣向を変えて、豆腐を固める“凝固剤”にフォーカスを当てたいと思います。

 

う~~~~ん。

なんとまあマニアックなテーマ。

みなさんが途中で飽きないように、頑張って書きますね。

 

 

“にがり”だけじゃない!豆腐を固める仲間たち

 

 

みなさんは、豆腐の凝固剤というと、一番に“にがり”を思いつくのではないでしょうか。

私も、小学校の家庭科の授業で「豆腐を固めるのはにがり」と習った気がします。

遥か遠くの記憶なので定かではないですが、にがりと聞くとなんだか懐かしい気持ちになります。

 

……おっと、話が脱線してしまいましたね。

私の小学校の記憶は置いといて、おそらく“にがり”を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。

しかしながら、実は、豆腐を固めるのはにがりだけではないのです。

 

 

今回はその仲間たちについてご紹介します。

豆腐の凝固剤に使われるものは、主に

 

“にがり”

 

“すましこ”

 

“グルコノデルタラクトン”

 

 

の3つに分けられます。

 

さて。まずは凝固剤の代表格であるみなさんご存じの“にがり”はどういったものでしょうか。

 

一般的ににがりは、塩化マグネシウムが主な成分のものを指します。

塩化マグネシウムと一言で言われるとわかりにくいと思いますが、簡単に言うと、海水から塩を作る過程で副産物として作られるものです。

 

海に囲まれた日本では、かつてより塩が作られてきました。

その過程で塩化マグネシウムが生成され、それがにがりとして豆腐の凝固剤に使われてきたことからわかるように、

伝統的な製法の豆腐はほとんどにがりで作るもののことを指します。

 

 

しかし、高温の豆乳をにがりで固めるには、凝固反応がとてもはやいため、固めるにはそれなりの技術が必要になります。

特に天然もののにがりは、ものにより反応に違いがあるため、現在では加工されたにがり(乳化にがり等)を使う豆腐屋も増えてきています。

 

 

次に、“すましこ”についてご紹介します。

もしかしたら京都の方なら一度は“すましこ”を聞いたことがあるのではないでしょうか。

“すましこ”の主成分は硫酸カルシウムです。

 

簡単に言うと、石膏です。

 

えっ?!石膏ってあの美術室に置いているダビデ像みたいな白い像に使われているやつ?!

と思うかもしれませんが、意外や意外。石膏は古くから豆腐の凝固剤に使われているだけでなく、石膏泉と言われる鉱泉もあるくらい、わたしたちの身体に身近なものだったりします。

スポーツをしている方だと、筋肉の痙攣防止の為のマグネシウム摂取に豆腐を食べて補うこともあるのだとか。

(もちろん、食用でない石膏像やチョークは絶対に口に入れてはだめですよ!)

 

 

そんな“すましこ”は水に溶けにくいため凝固反応が遅く、にがりほど技術力は要りません。

一方で、保水力があるため、つるんとのどごしの良いしっかりとした豆腐になります。

 

最後の凝固剤は、“グルコノデルタラクトン(以下GDL)”。

グルコノデ…グルコ……GDLは、まず日常的に聞くことはあまりないのではないでしょうか。

カタカナばっかりで化学的なイメージが先行するかもしれませんが、

実は、別名「ハチミツ酸」と言われるように、ハチミツやお酢に多く含まれている成分です。

 

GDLを使った豆腐はというと、すましこと同じように、つるんとしたのどごしが特徴です。

また、にがりとすましこが塩に反応するのに比べ、GDLは酸で反応するため、人によっては少し酸味を感じることもあるかもしれません。

そのほかにも凝固スピードが遅いため、製造の技術的なハードルもそこまで高くない上に、にがりと比べると日持ちがしやすいのも特徴です。

 

どの凝固剤の豆腐を選べばいいの?

 

 

答えは“好みで選んで!”一択です。

ちなみに上田とうふではほとんどを天然にがりで製造していますが、一部の製品で、すましこも併用して使っています。

 

 

完全に個人的な見解ですが、にがりは大豆の甘みを引き立てているように感じるので、

豆乳の味を楽しみたい方はにがりを使ったお豆腐、のどごしやつるんぷるんとした食感を楽しみたい方は、すましこあるいはGDLを使ったお豆腐がおすすめです。

 

いわゆるみんな違ってみんな良い!ってことですね。

 

さて。今回は凝固剤にフォーカスを当ててみましたが、いかがでしたでしょうか。

意外と知らないテーマだったのではないでしょうか?最後まで飽きずに読んでくださっているとうれしいです。

 

あ、本日は豆腐料理の紹介はありません。

今日の晩ご飯の参考にと読んでくださってたらすみません…。

しかし、不定期においしい豆腐料理をご紹介するのでぜひ次回からも読んでくださいね。

 

それでは本日はこのへんで。

 

 

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