2017.08.18
8月後半戦。夏も後半戦。夏らしい暑さはまだまだ続きますが、ふとした瞬間に秋の気配を感じますね。
そんな夏の後半戦は、初心に戻って豆腐の原料の大豆にフォーカスを当てたいと思います。
大豆というと、我々の誇り高き豆腐を始め、味噌や醤油、納豆などなどなどなど……
日本の食を語る上では欠かせない食材ですよね。
お正月にかかせない「おせち料理」には、「今年もまめに暮らせますように」と黒豆が、節分には、「鬼は外、福は内」と、煎った大豆で魔除け・厄払い、そして年の数だけその豆を食べます。
他には、学校給食でお世話になった大豆の甘辛煮や甘辛揚げ、チリコンカン等にも大豆が使われています。
みなさんは、大豆というと何を思い浮かべますか?
意外と身近すぎて思い出せない方も多いのでは?
そんな日本人には身近な大豆ですが、原産地は中国で、2000年ほど前に日本に入ってきたと言われています。中国との交流が盛んになってきた奈良時代には、仏教とともに味噌や醤油などの加工方法も伝わってきました。しかしながら、当時はまだ貴重だった大豆。各地に広まったのは、仏教が広く普及された鎌倉時代以降だと言われています。
時代とともに大豆の栽培方法、そして加工技術も発達し、日本人の食生活に欠かせない存在となりました。
2000年前から所縁のある大豆ですが、平成27年時点での日本での自給率は7%。そうです。現在では、海外からの輸入に頼っているのです。食用大豆の輸入先は、アメリカ・カナダ・中国からの輸入がほとんどで、全体輸入量は70万t程度とのことです。
日本では北海道を始めとして、宮城・秋田・福岡・佐賀・新潟など、全国で生産されています。
大豆には、一般的な黄大豆をはじめ、黒大豆、青大豆、白大豆など、たくさんの種類があります。
また、昔からその土地で栽培し続けられてきた在来種と遺伝子組み換えとは異なり、品種と品種を交配させ、新しく生まれる品種改良種があります。
一口に品種と言っても、味噌に向いているものもあれば、煮豆に向いているもの、そして豆腐に向いているものと、用途は様々です。
う~~ん、品種改良ってよく聞くけど、そんなに知らへんなあ。
なんて方は多いと思います。
品種改良はその名の通り、“改”めて“良”い大豆を生み出すことです。
良いというのは、様々な方向に良いことを指します。
例えば、生産者にとっての“良い”大豆とは農作物なので、育てている段階で病気や害虫、そして気候など、様々な影響を受けてしまい、
そこに対して農薬や農業器具などを使うとどうしてもコストがかかります。
そうならないように、予め“強い”品種に作るのです。
このように、生産者にとっての良いこともあれば、加工品をつくる私たちにとっても良いことがあります。
例えば我々豆腐屋ならば、固まりやすさ、甘み、風味を得られる品種が必要です。
それは味噌や醤油などにも言えること。前述したように、味噌に向いている品種もあれば、醤油に向いている品種もあります。消費者にとっては、安定した価格と、味が美味しくなるということでしょうか。
そんなこんなで、何年もの月日を経て、大豆は数多くの品種が生まれました。
数多くの大豆の中で、弊社が現在使用している国産大豆は、エンレイ、フクユタカ、里のほほえみを始めとした、いわゆる豆腐に適した人気の品種と、ミヤギシロメ、タマフクラ、音更大袖振、白丹波大豆です。
また、一部の安価な商品で、アメリカ・カナダ産もブレンドしています。
タマフクラは、名前のとおりふっくらとしており、北海道産の大豆の中でも最大サイズです。
丹波黒大豆とツルムスメを交配したタマフクラは、大粒でふっくらしている点から、煮豆などの調理に向いています。
味は栗のような甘みが特徴とされている品種です。
音更大袖振は、甘みが強いこともそうですが、数多くある大豆の中でも、イソフラボンの含有率が高い品種としても有名です。
白丹波大豆は、甘みが強くスイーツにも使われることが多い品種です。まだまだ新しく希少な品種の為、なかなか出回ることも多くないのであまり耳慣れないかもしれませんね。詳しくはぜひこちらをご覧ください。( http://www.uedatofu.com/special/ )
他にも、たくさんの美味しい大豆があり、弊社でも色々と試作しておりますが、
在来種や甘みのある青大豆などは、希少で高価なうえ、品質にもバラつきがあり、弊社には安定して手に入らないのが現状です。
ちなみに、弊社の使用する大豆は、その年によっての収穫量や質などを考慮し作るため、産地や品種は予告なく変更されます。
それほど大豆は繊細なものであり、皆様に美味しいお豆腐をお届けするには、
微妙な見極めが必要となってきます。
さて、今回は大豆の種類についてお送りしましたが、いかがでしたか?
スーパーで豆腐を見て「国産大豆使用」は見るけど、ここまで品種があることは知らなかったのではないでしょうか。
最近では、パッケージに使用品種や産地などが記載されているものもありますので、ぜひ食べてみてください。
あ、もちろんまずは、うえ田の豆腐でお願いします。
それでは、今回はこの辺で。